JARECO-Eyecommunication

JARECOニュースまとめ(2018/07/10)

市場ならびに市場関連数値

〇住宅価格上昇が賃金上昇を上回る市場多し (2018/06/19 ATTOM DataSolution社発表) 住宅関連データを取り扱うATTOM Data Solutions社レポートによると、2012年第1四半期から現在までの住宅中位価格は75%上昇したが、同期間の所得上昇率は13%にとどまっている。中位価格の住宅を購入するために必要な費用は中位所得の31.2%となり、歴史的平均の29.6%を上回っている。
各地区の住宅取得能力指数地図は以下記事にて見ることができる: https://www.attomdata.com/news/market-trends/home-sales-prices/q2-2018-u-s-home-affordability-report/

〇住宅費用負担が重荷と感じる世帯増える (2018/06 ハーバード大学住宅調査共同センター研究報告書) 全米世帯数の3分の1近くに該当する3,810万世帯は、所得の30%以上を住宅支出に費やしており、これは過大すぎるとの評価を報告書が指摘している。特に賃貸層でその傾向が強く、全体の47%の2,100万世帯は所得の30%以上を賃料に使用しており、1,100万の賃貸世帯は所得の半分以上を賃料に使用している。長期的トレンドとして、所得の伸びが住宅費用の伸びに追いついていないことを報告書は指摘している。
詳しくはこちら: http://www.jchs.harvard.edu/state-nations-housing-2018

〇持ち家率のかぎを握るシニア層 (2018/06 ハーバード大学住宅調査共同センター研究報告書) 持ち家率低下を止めるには、若者世代(ミレニアル)の持ち家率上昇がキーとよく言われるが、現実は、65歳以上のシニア層の持ち家率がどうなっていくかがキーだとの調査が出ている。ここ30年間の持ち家率推移を年代別に見た場合、唯一増加しているのは65歳以上の世代で、75.4%だったものが78.7%へ伸びている。ベビーブーマー世代の持ち家はこの10年間で700万世帯の純増となっていて、この世代が持ち家を増やしていくかどうか、持ち家率上昇には焦点である。
詳しくはこちら: http://www.jchs.harvard.edu/sites/default/files/Harvard_JCHS_State_of_the_Nations_Housing_2018.pdf

〇差し押さえ物件数が増加 (2018/06/19 ATTOM Data Solution社発表) 住宅市場は数値的に好調を維持しているが、競売物件は逆に、市場の43%の地域において増加している。5月の競売開始物件は33,623件で、ハリケーンの被害を受けたヒューストンでは対前年度比153%の増加、ダラス・フォートワースが46%、ロサンゼルスが14%等の増加となっている。
詳しくはこちら: https://www.attomdata.com/news/market-trends/foreclosures/foreclosure-starts-jump-153-percent-in-houston-increase-in-43-percent-of-local-markets/

〇住宅購入決定に与える子供の影響はどれくらい? (2018/6/20 シカゴ・トリビューン誌) 住宅購入者で18歳以下の子供を持つ人の55%は、住宅購入決定に子供の意思により何らかの影響があったと答えている。ミレニアル世代ではこの割合がもっと高く74%となっている。賃貸層になるとさらにこの割合は高く83%に達する。子供の意思を尊重しないと、入居後になって子供が、「自分の希望が無視された」と考える場合もありうるという人もいるが、一方であまりに尊重しすぎると、いつまでたってもオファーが出せないケースもある。子供の意見を十分に聞いたうえで、しかし決定は親が行う、ということが大事なのではと記事は書いている。
詳しくはこちら: http://www.chicagotribune.com/classified/realestate/ct-re-0624-kids-real-estate-20180531-story.html

建築とリフォーム

〇新築販売が今年最高レベルに (2018/06/25 全米ビルダー協会発表) 商務省発表データによると、5月の新築販売成約件数は対前月比6.7%の大幅増となり、年率換算で689,000となって今年最高を記録した。成約中位価格は$313,000(約3,400万円)、販売在庫数は299,000戸で、現在の販売ペースで5.2か月分となっている。ただ地域別では大きな違いがあり、大幅に増えたのは南部で17.9%増なのに対し、北東部では10%、西部では8.7%の減となっている。
詳しくはこちら: http://nahbnow.com/2018/06/new-home-sales-rise-to-highest-level-this-year/?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+NAHBNow+%28NAHB+Now++%7C+The+News+Blog+of+the+National+Association+of+Home+Builders%29

政策

〇トランプ政権が政府系金融機関の民営化を要望 (2018/06/22 NARニュース) 6月21日、トランプ政権は2008年以来政府管理下にある政府系金融機関ファニーメイ(連邦住宅抵当公庫)とフレディマック(連邦住宅抵当貸付公社)の民営化を提起した。実現するには議会での承認が必要となるが論議の的となりそう。提案によれば、現在の政府系金融機関が行っている住宅ローンの提供はやめ、各金融機関の住宅ローン保証と、それを買い取っての証券化業務にのみ特化すべきとしている。提案は、民営化しないと自由なローン市場が育たないと論じている。しかしそうすると低所得者向けの住宅ローンがまったく提供されなくなって、市場をますまずいびつにするとの反論も上がっている。
詳しくはこちら: https://magazine.realtor/daily-news/2018/06/22/trump-administration-proposes-privatizing-fannie-freddie?tp=i-H43-Bb-2JW-3e2Ud-1p-9gmu-1c-3eEYf-19Kpny&om_rid=53871715&Om_ntype=RMOdaily&om_mid=8898

〇オンラインの売上税に関する判決 (2018/06/22 NARニュース) アメリカ最高裁は6月21日、サウスダコタ州が訴えていた、オンライン上の小売業者へ州が売上税を課税することを認める判決を下した。実店舗を持たない小売業者は売上税を支払わなくてよいという判決が1992年に出ているのだが、それ以来、実店舗を持つ小売業団体が、これではオンライン業者が不当に有利な立場に立つとして、オンライン業者にも売上税が課せられるよう求めていた。なお、アマゾンは、今回の判決に拘わらず、以前より売上税を納入している。
詳しくはこちら: https://magazine.realtor/daily-news/2018/06/22/online-sales-tax-rules-could-be-commercial-windfall?tp=i-H43-Bb-2JW-3e2Ud-1p-9gmu-1c-3eEYf-19Kpny&om_rid=5じ3871715&Om_ntype=RMOdaily&om_mid=8898

全体経済その他

〇海面上昇による洪水危機が増加 (2018/06/20 憂慮する科学者ユニオン調査) 温暖化により海面水位が上昇し、それによって洪水の危機にさらされる現存の住宅数は、向こう30年間で311,000戸、今世紀末では240万戸と科学者が推定している。同じく事業用物件の場合は14,000棟と107,000棟としている。州毎ではフロリダが一番多く、世紀末まで100万戸、2位はニュージャージー州の25万戸となっている。
詳しくはこちら: http://economistsoutlook.blogs.realtor.org/2018/05/08/more-properties-were-sold-at-or-above-the-list-price-in-march-2018/

〇トップ企業CEO (2018/06/ Glassdoor発表) 求人検索サイト大手Glassdoorが、「働きやすい企業の役員ベストランキング」を発表した。不動産関連企業では、大規模企業部門だと第3位にデジタル署名DocuSignのDaniel Spingler氏、6位にリフォーム資材販売のPower Home RemodelingのCorey Schiller氏とAsher Raphael氏が入っている。
リストはこちらにて見ることができる: https://www.glassdoor.com/Award/Top-CEOs-LST_KQ0,8.htm#